睡眠時無呼吸症候群・禁煙治療

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

口や鼻から肺へと続く空気の通り道(気道)が狭くなることで、眠っている間に呼吸が止まる状態が繰り返される病気のことです。肥満によって気道が狭くなることが原因となる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と、脳や神経などの病気が原因となる中枢性睡眠時無呼吸(CSA)に分けられます。
呼吸が止まる状態が続くと全身への酸素供給が低下します。細胞は酸素をエネルギーとして利用して生きていますので、脳や心臓、全身の臓器のじんわりととダメージが与えられることになります。
具体的には血圧のコントロールが悪い原因となったり、心不全増悪の原因となったり、認知症の発症にも関係していることが明らかになっています。

どんな症状が出ますか?

まずは、患者さんご自身には自覚症状はないが、いびきや睡眠中の呼吸停止を同居されている方や宿泊を共にした方から指摘される、ということが多いです。さらに無呼吸の回数が増えると、患者さんご自身が、日中の極度な眠気、慢性的な頭痛、めまいや吐き気と言った症状を自覚するようになります。

検査について

睡眠時無呼吸の診断をするためには、1時間当たりの無呼吸の回数、低呼吸の回数(A H I)がどのくらいあるか、を確認します。A H I=5以上で無呼吸があると判断され、A H I2=20以上でC P A Pという機械を使った治療が必要となります。
検査は、簡易検査:アプノモニター、精密検査:ポリソムノグラフィー(P S G)の2種類があります。簡易検査は、値段が安く、装着するモニターが少ないのが特長です。しかし、A H Iが低めに出る傾向があるため、除外診断は可能ですが、確定診断をする場合には精密検査が追加で必要となります。一方、精密検査は、値段が高く、装着するモニターが多いので、最初から検査することはおすすめしませんが、症状や経過からかなり疑わしい場合や簡易検査でより正確な病態を把握する必要があった場合に行います。

治療について

治療は、A H I=5-19の場合は、マウスピースやナステント(鼻に通すチューブ)で軌道を確保する治療が推奨されます。AHI=20以上の場合は、C P A P(機械で気道に空気を持続的に送り込む治療)が第一選択として推奨されます。A H Iが高い方は、それだけ無呼吸が多いということになりますので、高血圧や心不全、認知症といった疾患に繋がる可能性が高いため、しっかり治療する必要があり、現時点ではC P A Pのみが予後(生存率)改善効果が証明されている治療になります。C P APが装着できれば一番良いですが、中にはC PA Pがどうしても装着できない方もおられ、マウスピースやナステントで代用しつつ、A H Iの値を確認して調整していくという場合もあります。

禁煙治療

タバコって何が悪いのですか?

タバコ(喫煙)が原因の一部として確定的な病気は、「肺がん」「口腔がん」「咽頭がん」「鼻腔・副鼻腔がん」「食道がん」「胃がん」「肝がん」「膵がん」「膀胱がん」「子宮頸がん」「心筋梗塞」「狭心症」「大動脈瘤」「末梢動脈硬化疾患」「脳梗塞」「脳出血」「慢性閉塞性肺疾患(C O P D)」「2型糖尿病」「歯周病」「乳幼児突然死症候群」などです。
また、喫煙は本人への害だけでなく、生活を共にする周囲の人全てに害をもたらします。自分のために治療するとなると快楽に負けてしまうのが人間ですが、自分にとって大事な誰かのために、という思いで取り組んでいただくことが大事ではないかと思います。また、一緒に生活されている方にも、禁煙治療が精神的に大変なことであることを理解してもらい、一緒に乗り越える姿勢を持っていただくこともとても重要です。

禁煙の治療について

現在、内服治療:チャンピックスとパッチ:ニコチネルパッチ治療があります。チャンピックスは、タバコに含まれるニコチンの代わりに脳内のニコチン受容体に結合するため、タバコを吸ってもニコチンを吸った満足感が得られないこと、ニコチンの代わりに受容体に結合してドパミンを分泌することで、ニコチンがなくても気分がいい状態が得られます。そのため、実際に禁煙を始める前からチャンピックスを内服して、タバコを吸っているのにタバコを美味しく感じないことを体に自覚させ、その後禁煙を始めてもそれほど辛い状態にならずに過ごせるということを通して、禁煙を成功させます。
ニコチネルパッチは、タバコの代わりにニコチンを体に入れるシールを貼ります。時間をかけて徐々に減らしていくことで、ニコチン依存状態の体からニコチンを徐々に離脱させていくことで、禁煙治療を成功させます。
いずれも、保険適応で約1.5万円/12週間(3割負担の場合)で完了するようにスケジュールが組まれていますので、保険適応による延長はありません。
当院では、ただ処方するだけではなく、喫煙による健康被害を理解して頂き、禁煙後の再喫煙に繋がらないように教育するよう心がけています。禁煙に取り組みたい方は是非ご相談ください。

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