アレルギー

アレルギー症状に関連する疾患

アレルギーとは?

免疫反応が過敏になっている状態です。免疫反応とは、自分以外の物質が体内に侵入してくると、敵と認識して攻撃したり、体を守ろうとする反応のことです。誰でもなる可能性がありますが、元々喘息や通年的な鼻炎、アトピー性皮膚炎が疑われるような症状がある方は、色々なものに対してアレルギー反応を起こしやすいことがわかっています。

アレルギーで起きる症状について

アレルギーは全身で起きる可能性があり多岐に渡りますが、皮膚や目/鼻といった外の世界と接している組織で最初にアレルギー反応が起きることが多いため、これらの組織で起きる症状がメインになります。
サラサラの透明な鼻水、2週間以上長引く空咳、原因不明の湿疹や蕁麻疹、嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状、急な息苦しさや喉が締め付けられて呼吸がしずらい感じ、舌がザラザラして違和感が続く感じ、などが代表的な症状です。

アレルギーの原因、検査について

原因が明確に分かることもありますが、分からないこと多いです。しかし、元々アレルギーを起こしやすい人の場合は、複数の特定した物質が増悪因子として関係している場合もあるため、症状が長引く場合や治療に難渋する場合には、一度アレルギー検査を行い、アレルギー情報を把握しておくことが、治療には役立ちます。
アレルギー検査は1万円弱(3割負担の場合)する高額な検査ですが、頻回に行う必要はありませんので、アレルギー症状に困っている人はご検討ください。特に、花粉–食物アレルギー症候群やラテックス–フルーツ症候群など複数に渡って症状がある方は検査により関連性が把握できることがあります。
明らかにアレルギー症状があり検査をしてもアレルギー反応がでない場合には、ヒスタミン中毒や仮性アレルゲン、食物不耐症、温熱/機械刺激/発汗/寒暖差などよる非特的刺激による反応などを疑いますので、検査で何もないこと自体も治療を進める上では意義があります。

アレルギーに対する治療について

治療は、抗ヒスタミン薬を使用することが第一選択となります。アレルギー反応のうちヒスタミンが関係するアレルギーが一番多いことが明らかになっており、ヒスタミンを抑制する薬を使用することで症状が改善することが実際ほとんどのためです。
しかし、重症な場合は免疫反応を全体的に抑制するためステロイドを使用したり、治療に難渋する場合は抗ヒスタミン以外の抗ロイコトリエン、抗トロンボキサンA2など、ヒスタミン以外でアレルギー反応に関係する薬を使用して治療を行なっていきます。
例えば重症な花粉症の方など、抗ヒスタミン薬だけでは症状改善が十分ではなく、多剤を併用してようやく日常生活に支障がない程度にコントロールすることができるような方もいらっしゃいます。 湿疹は主に外用薬(塗り薬)で治療することが多いですが、長引く場合や重症な場合は内服薬を合わせて使用します。
また、蕁麻疹は内服治療がメインになりますが、いずれも皮膚科で治療される方が多く、速やかに改善する場合は良いですが、長引く場合には皮膚科治療というよりも内科治療の知識や経験が必要となってくることもあります。順調に改善しない皮膚の湿疹などは一度内科的視点でアプローチしてみることも検討すると良いと思います。

舌下免疫療法について

抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン、抗トロンボキサンA2などの薬は、ヒスタミンなどのアレルギー反応に関係する物質をブロックすることで、アレルギー反応を起こしにくくする対処療法的な治療ですが、他にアレルギー自体を根本的に改善させる方法として、舌下免疫療法という治療があります。
アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に入れることで、体がアレルギー原因物質自体に慣れていくことを減感作といいます。この減感作を継続的に続けることによりアレルギー反応自体を起こさないようにする治療が、舌下免疫療法です。(舌の下で薬を溶かして内服するので、舌下免疫療法といいます。)
現在、スギ花粉アレルギーに対するシダキュア、ダニアレルギーに対するミティキュアの2種類があります。
いずれも少量のアレルギー原因物質を毎日舌下(舌の下で溶かす)で内服します。最低3年、できれば5年継続してアレルギーをなくすに近い状態にさせます。効果はほぼ一生続く方もいらっしゃれば、10年くらいで少しずつ症状が戻ってくる方もいらっしゃいます。それでも、治療前よりははるかに良い状態が維持できます。
3〜5年と聞くと、すごく長いと感じられると思いますが、治療を行なった方のほぼ全員が治療前よりも症状が毎年確実に緩和されていくことを実感することで、「最後までしっかりやりたいです。」「5年経つけど、治療が終了したらこんなに調子がいい状態が終わるかもしれない不安があるので、もう少し続けていたいくらいです。」とおっしゃいます。
治療開始後1ヶ月以内は副反応として、口腔内の違和感などの症状が出る方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は数ヶ月以内に副反応もなくなり、問題なく治療を継続することができます。
シダキュアに関しては、スギ花粉のピーク時に開始すると副反応が強くなりますので、12月〜4月の間は新規に開始することは避けるべきとされています。
一方、ミティキュアはダニの繁殖に大きなピークがないため、通年的に開始することが可能です。
ただし、妊娠希望がある方においては、妊娠/出産の際には中止する必要があり、継続年数が3年未満の場合は、再発リスクが高くなるため、再度やり直す必要がありますので、開始するタイミングを考える必要があります。

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