高血圧症

高血圧の原因について

血圧は、血管に当たる圧のことです。血圧は血管の硬さや、心臓から拍出される血液量などによって変動します。血圧が高くなる原因の違いで大きく2つに分類されます。生活習慣や加齢に伴って生じる本態性高血圧と、血圧が上がる他の病気に伴って生じる二次性高血圧です。
本態性高血圧は、血管が硬くなる動脈硬化や、塩分が多いことによる血液量の増加で血圧が高くなることが多く、生活習慣の是正が治療に大きく繋がります。
一方、二次性高血圧の中で最も注意が必要な疾患は原発性アルドステロン症です。特に若者で、肥満もなく食生活も問題がないのに150mmHgに近い血圧の場合には、血圧を上げることに関与するアルドステロンというホルモンの分泌異常を鑑別します。
その他にも甲状腺機能異常や重症な貧血、睡眠時無呼吸症候群なども原因となり得ます。これらの二次性高血圧の治療は、問題となっている根本の治療をする必要があるため、血圧を下げる薬の治療だけでは不十分な可能性があります。初めて高血圧が指摘された場合には、これらの疾患をしっかり鑑別する必要があります。

血圧の管理について

日本高血圧学会の高血圧診断基準は、家庭での収縮期血圧(上の血圧)135mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)85mmHg以上(診察室:収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)の場合を高血圧と診断します。
逆に家庭血圧の正常は115mmHg/75mmHg未満なのです。「110台なんて、低すぎませんか?」とよく質問されます。
しかし、血管が柔らかければ十分な血液量が流れている状態でも血管に当たる圧はそれほど高くなりませんので、赤ちゃんのように柔らかい血管における血圧は90−100mmHg台です。
つまり、成人において血圧140mmHgというのは、流れている血液量が非常に多くて血管に当たる圧が高くなるか、血管が硬くなることで血液が血管に当たった時に圧が逃げられないことで血圧が上がるか、ということが考えられます。

高血圧はなぜ体に悪いのか?

では、血圧が高いと何が問題なのか。血圧が高いということは、それ自体血管へのダメージが強くなります。そしてダメージを受けた血管はさらに硬くなり、また血圧が上がるという悪循環になります。全身の血管の状態が悪くなると、やがては組織や臓器における血流障害(血流が十分に行き渡らない)が生じます。
特に、微小血管は傷害を受けやすく、高血圧が原因による腎障害(腎硬化症)は透析の原因として一定数を占めており、未だにゆっくりと増え続けています。
もう一つ重要なこととして、血圧が高いということは、それだけ血液を送り出す心臓にとっては負担になるということです。心臓は、一日に約10万回も拍動しています。
その一回一回にかかる負担は僅かな差であっても、それが長年続くことで、心臓の筋肉は少しずつダメージを受けていきます。その結果が高血圧性心疾患なのです。

高血圧の治療について

前述通り、まずは原因を明確にする必要があります。本態性高血圧で合った場合には、血管を拡張させる薬や、血圧を上げるホルモンを抑制する薬、心拍数をコントロール薬などがあります。
軽症の場合は1-2種類の薬で治療可能ですが、さらに多くの種類の薬を組み合わせないと治療できないような方もいます。
ただし、これらの内服治療の前提として、日本人の多くの人は塩分過多による血液量過剰で高血圧になっている方もまだまだ一定数いますので、まずは塩分制限を心がけることは重要な要素です。
健康診断で、正常の中で高め、境界ギリギリ、という程度であれば、塩分を見直すことが有用な場合も十分あり得ます。

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