貧血・甲状腺機能異常・副腎機能異常

貧血、倦怠感を伴う疾患

など

貧血とは?

貧血症状として一般的に考えられる立ちくらみやめまいとは別に、医学的な貧血とは血液中の酸素を運ぶ役割のヘモグロビン(赤血球に含まれる)の濃度が低くなった状態のことを言います。
ヘモグロビンが少ないと、酸素を効率よく運ぶことができなくなるため、少しの運動で息切れが出たり、めまいや全身の強い倦怠感が出たりします。
ヘモグロビンが低下するよりも前から実際には倦怠感が出ているのですが(潜在性貧血)、症状がゆっくり進行するため気づかない場合が多いのです。逆に急激なヘモグロビン低下では症状がかなり強く出ます。

鉄欠乏性貧血について

ヘモグロビンは鉄とタンパク質が結合してできているため、体外から入ってくる鉄が不足したり、消化管から鉄の吸収が悪くなったり、鉄を再利用する能力が低下したり、他の臓器で鉄を消費してしまったりすると、鉄が不足してヘモグロビンの数が減っていまい、これを鉄欠乏性貧血と言います。
貧血の中では、鉄欠乏性貧血の頻度が一番多く、治療も鉄を補充することで症状は速やかに改善することが多いため、放置せず検査をすることをおすすめします。「昔からずっと言われていて特に症状もないし」と仰る方もおりますが、貧血状態が続くと、正常の状態よりも血液量を増やして何とか対応しているため、長期的にみると正常よりも多い血液量を全身に流す心臓は疲弊しやすくなります。
循環器の視点からは、そういった長年の貧血放置による、心不全、三尖弁閉鎖不全に至る患者さんも少なくなくありません。早期発見、早期治療で完全に防げるため、貧血放置による大きな弊害を理解していただき、治療に臨む必要があるかと思います。

鉄欠乏性貧血以外の
貧血について

他に、赤血球の生成時に必要な葉酸やビタミンB 12が不足すると、赤血球が生成が不十分になり、鉄欠乏性貧血と同じような症状が起きます。葉酸とビタミンB12の欠乏の原因として飲酒の影響は常に念頭に置いておく必要があります。飲酒制限で改善する場合もありますが、継続的な治療が必要な場合や、他の血液疾患や臓器障害を鑑別する必要もあります。
また、原因がすぐにははっきりしない貧血の場合は血液疾患や悪性腫瘍などを鑑別する必要があるため、「昔から貧血気味だから」という理由で貧血を放置しない、元々貧血がある人は時々経過を確認する、ということが重要かと思います。

貧血以外に強い倦怠感を
伴う疾患

日常的な強い倦怠感があった場合に鑑別するべき疾患として、貧血、甲状腺機能異常、副腎機能異常、心/腎/肝の臓器障害、うつ病、筋痛性能脊髄炎(稀な病気ですが)などがあります。
貧血、甲状腺、副腎、臓器障害は血液検査で鑑別することができ、甲状腺や副腎に異常があった場合には一度は専門医療機関での詳しい検査が必要になります。
また、ご本人がうつ病と全く自覚していなくとも強いストレスに対する生体防御反応してうつ病/うつ状態になることは誰にでもあり得ることですので、うつ病もしっかり評価することが必要です。筋痛性脳脊髄炎は、日常生活で寝たきりになるくらい強い症状が出ることもありますが、現代の医学においても未だ診断を含めて検査や治療が十分確立されていないため、現時点では対処療法を行うしかない病気です。

慢性頭痛

慢性頭痛とは?

強い頭痛が初めて起きた場合には、最初に必ず頭蓋内疾患(脳腫瘍や脳出血など)を頭部M R I などの検査で鑑別する必要があります。頭蓋内疾患は緊急性が高く、命に関わる病気であることが多いからです。
若い方でも、もやもや病など生まれた時から持っている病気に気がついていないだけ、ということもあり、特にもやもや病は一定の確率で若い方の脳内出血/突然死に繋がりますので、必ず確認しておくことをおすすめします。MR I検査で何もなかった場合には、慢性頭痛の可能性が高いと判断され、症状の特徴により、主に3つのタイプに分けられます。
一番頻度が高いのが、頭部全体や後頭部を中心に締め付けられるような痛みが出る緊張型頭痛、次に頻度が多いのが前頭部から側頭部にかけてズキズキするような痛みが続く偏頭痛、比較的中年男性に多いとされている目の奥あたりの激痛を伴う群発頭痛があります。
軽症〜中等度であれば頭痛を緩和させる内服治療で対応できますが、毎日起きるような頻度の場合には、予防的な内服治療や注射による治療を組み合わせて治療を行う必要があります。

慢性頭痛以外の
頭痛について

頭痛を起こす原因として、頭蓋内疾患やストレスなどによる慢性頭痛以外にも、眼精疲労や、高血圧、血管拡張剤などを視野に入れて鑑別する必要があります。
また、頭蓋内疾患以外については、複数の原因が絡み合っていることも多いため、症状の経過について詳細に確認して、治療を進めていく必要があります。

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